気分が割といい日とまぁまぁな日、ちょっと悪い日とどうしようもなく涙が止まらない日。ぐるぐる繰り返していた。
昔、好きだったドラマで『青い鳥』という豊川悦司主演のドラマがある。
物語の始まりは田舎町で小さな駅の駅長をしていた主人公がその地に現れる子連れの綺麗な奥様との出会い。再婚相手の佐野史郎演じる旦那さんにはただのモノ扱いされて、苦しい思いをしていた夏川結衣演じるその美女と結局お互いに惹かれあってしまい、旦那さんから逃げ出すために子供を連れて駆け落ち的なことをするんだけど・・・
結局主人公を守るためにその奥様は自殺。子供だけが残る事になる。
刑務所から出てきた彼がその連れ子だった少女と再会した時。6年もの間どのように暮らしていたかを話す。
「カレンダーで色を塗りつぶしたの。楽しかった日は赤、まあまあ楽しかった日は黄色、つまらなくて寂しくてしょうがなかった日は青、寝る前に色を塗るの。ママとあんたがいなくなって1年目、最初は青ばかりだったけど、少しずつ黄色が増えた。でも、2年目、3年目で黄色は減った。5年目には真っ青になった。誕生日もクリスマスもお正月も全部青。6年目になったらもう色を塗ることをしなくなった。死んでるってこと!教えてよ、何のために生きてるの?」
ものすごく残っているセリフだった。
このドラマを放送していた当時はまだ幼い愛だ恋だにうつつを抜かし一喜一憂して、簡単に「辛い、死にたい」とか口に出してた年頃だった私。それから二十年経った今、この心に残っていたセリフに心底共感する時がくるなんて想像もしていなかった。
3度目の手術をしてしばらくはずっと青。そのうち確かにちらほら黄色が混ざってくる。でも黄色と青を行ったり来たりしてどうしようもなく涙が出る日は色を想像することさえできないのだ。
景色に色を感じない。音楽も耳に入ってこない。大好きなドラマやお笑い番組を見ても全く面白くない。
横たわった時、天井には
「私は、親になれない」
と言う言葉がどうしても浮かんでしまう。
もう自動プロジェクトマッピング状態だ。
そして、そんな記憶や想いが染み付いてしまった家を出る事にした。
とりあえず引越しをして環境を変える事にしたのだ。