私は親になれない

流産を3回経験し、絶賛『鬱病』闘病中・子なし四十路女の小言。それでも切実に伝えたい事。この日本でも個人での自由な生き方がもっともっと当たり前になりますように.....。

21、変わらない

こういう経験をしてもう一つ、強く強く感じた事がある。それは男性の子作りへの意識の低さというか知識の無さ。昨今では大分マシになてきているような気もするが・・・。

前述したように確かに男性は実際自分の体に子を宿すわけでもなく、ちょっと下品な言い方をすればタネを植えつけてしまえば水やりも収穫も一切関わりがない。

だから仕方ないじゃないか。と、今まで『男』『父』を立てる文化が当たり前であった日本では、「でかしたぞ!」とか言いながら後はお前、頑張れよ。ってな感じでお腹の中に宿った瞬間から子作りは女の仕事であると区切って考えていた風潮が強かったのだろう。

一度、旦那と赤提灯的な店で一杯やってる時に隣で飲んでいた4人組のサラリーマンの一人が、どうやら奥さんが不妊治療中の身だったらしく、それに対し

 

「正直よくわからんし、面倒くさいし、この日にとか言われても男としては無理だよなー。そんなに器用にこなせないっつーの。」

 

的な事を長々とネタにし『爆笑の渦』になっていた。

私はその時すでに流産を経験していたが、その当時は怒りモードというよりも暗闇くんモードだったのでひたすら悲しく残念な気持ちになったものだが、ちょっとでも元気な時だったら下手したら説教かましてやりたい気分だった。

どう思うかは勝手だ。確かに男の人だって機械じゃないのだから、正直しんどいと感じることもあるだろう。

だけど、本当に大変なのはあなたの選んだパートナーであってお前じゃない。どれだけ痛い思いしてどれだけ待たされ、通院を続けてると思ってるんだ。

ましてや酒の場のネタにされてると知ったら、私だったら死にたい気持ちになると思う。デリカシーのかけらもないし、こんな下品な男がまだまだ沢山いるのだなと嘆いたものだ。

近頃では『イクメン』やら『育休男子』といういかにも漫画になりそうな言葉がまことしやかに広がり始め、そんな家庭もありだよね。ってか、男もちゃんと子育てに参加しなくちゃね、という風潮が取り上げられてきている。

(まぁ個人的には某小泉何ちゃら氏が育休をとるのは立場的に疑問を感じる所なんですが・・それは置いておいて。)

しかし、そんなのはそもそも当たり前だと思うしそれがトレンドになってる日本は本当に先進国かよと思ってしまうほどに遅れている。私が言いたいのはそこではなく、もっと前の段階だ。

私たちが小中、そして高校と習ってきた性教育というのは基本的には「どうして子供ができるのか」というところから『責任』という道徳的な所を教え始め「子供ができないように避妊具をつける」という事だったように記憶している。

そんな流れや言葉にキャーキャー言いながらこういう行為をすると誰でも当たり前のように子供ができちゃうのか、と思ったものだ。

まだ結婚するずっと前に、いくつか恋をして、そういう事に及ぶようになったりしてきちんと避妊をしていてもちょっとでも生理が遅れると「出来てたらどうしよう」なんてヒヤヒヤしたものだ。

今思うと、皮肉なものでのちにここまで頑張っても子供を授からないなんて当たり前だけど想像もしていなかった。

現在は、LGBT、性的少数者と言われてしまう人達に関しての教育や理解は進んできてるらしい。歳をとった人達よりもよっぽど今の子供たちの方が理解があって『素敵な事じゃない』と堂々と言えてしまうという素敵な変化が起きているらしい。

 

私はここにもう一つ提案をしたい。『避妊』を学ばせるのは確かに大切だ。

しかし、逆に命を授かる事が当たり前であるという凝り固まった考えになってしまう事を何とか変えられないものだろうか。

命を授かるという事の奇跡。当たり前ではない事。大変である事。それは、選ばれた人しか出来ない体験である事。そう。私から言わせてみれば、命を授かりその命がお腹で何事もなく育ちこの世に生まれ落ちてくるというのはもう、天文学的数値の奇跡にしか思えないのだ。

当たり前だからこそその命を簡単に考えてしまう人がいる。自分の子供に虐待を繰り返し、命を奪っている親が連日報道される。

特に最近常軌を逸していたのは目黒区の船戸結愛ちゃんの事件。日々およそ人間とは思えないほどの虐待を受けていた中で彼女が書いたノートの言葉。『いい子でいるから許してください。』という悲痛な言霊。

主に虐待の中心になっていたのは父親だと言う。

大体世に出る児童虐待の中心は男性だ。それを止めれない、見ている、女性も勿論同じくらいいかれていると思うが。

この事件が明るみになった時も、裁判が始まって連日ニュースで取り上げられている時も吐き気が止まらなかった。

この人たちは人間じゃない。動物以下だ。だから言ってるんだ。こんなところに生まれる運命を背負わせてる神というものが存在するのなら絶対に嫌なやつだ。

前述したように『その試練は乗り越えられる人にしか与えられない』なんてのも大ウソだ。乗り越えようのない事。子供には親しかいないのだ。乗り越えられるような力を蓄えられるようにゆっくりと親とともに成長していくのだ。不公平で不憫でとにかく言葉に表しきれない怒りを覚える。子供を持ってる方とはまた違う怒りや悲しみを私と同じような立場の人たちは持っているはずだ。

その奇跡をどうしてわからない。

そして、どうしてこんなにも望んでいる私たちには親になれる資格を与えてもらえないのだろう・・・・・。

しかし、きっとこういった事件は繰り返されるだろうし、性に関する個々の考えや子供に関する意見に踏み込みにくい一面がある限り変わらないのではないかと思う。

大きな声で訴えたい。特に男性に。

その奇跡をあなたたちが体で実感できないとしても、どこか虚しさを感じていたとしても、命を宿し十ヶ月もの間お腹の中でゆっくりと細胞分裂を繰り返しながら育ち、女は沢山の血を流しながら痛みに耐えながら子を産み落としているのだ。

それさえもできていない私がいうのはおかしいかもしれないがこんな奇跡、こんな大仕事はない。

何度でも言うが天文学的奇跡のど真ん中にあなたはいるんだよ。しっかりそれを想像して受け止めてほしい。

我が子に虐待をするような人間こそちゃんと避妊をしろ!そこから出直してこい。