この文章を書きつづれるまでに復活し、日々に少しづつでも彩りを取り戻さなくてはいけないなと感じ始めていた頃。
子供の頃からテレビドラママニアである私はとあるドラマを彩っていた『華』にとても惹かれるものを感じた。
花は元々好きだし、元気がない時に届いた花束に命を吹き込まれた感覚を持ったことも多々ある。
ただ、このドラマに登場する花は「花」と言うよりそこに訴えるものを感じさせる『華』であり、これを作っている人はどんな人なんだろう・・・と心を動かされたのだ。
不思議な事にこう感じた出来事とは別に、
『ちょっと無理にでも習い事でもしてみようかな・・』
と頭によぎりネット上で調べている時に一つだけ惹かれる教室を見つけたのだ。
その生花教室が先ほどのドラマの花を生けていた先生だと言うことを目にしてびっくりしたものだ。
『新しいこと・新しい場所・新しい人間関係』にそこまで積極的ではない私だが、思い切ってポチッとその教室体験を予約してみた。
この段階でもう緊張が始まったビビりな人間である。
ココロも万全ではなかったし、新しい場所へ一人で飛び込むにはガス欠状態の身だったけど何かにピンときた気持ちを信じてそれはもう、ど緊張しながら当日その体験教室へ向かった。
自分のけつを叩きながら前に進もうとしたのだ。
お洒落なカフェの一角を借りてのその教室。
先生に直々に指導を受けながらも穏やかに花を生けている女性がたくさんいる。
その中は生きた花の香りに包まれていて、呼吸が楽になる感覚を覚えた。
同じ日に体験レッスンを受けていた人の中に男性が一人いた。
当たり前であるがの遠慮しあった空気の中でその方が
「色々大変な事があったからこの生花というものを学んでみたいと思いました。」
と女性しかいない空間の中で力強く語っていた。
おぼつかない手つきで剣山に花を生けるという作業を緊張しっぱなしで続けながらそんな男性の姿勢にも考えさせらえる事が大きかったなぁ。と今は思う。
前向きになるために、自分を奮い立たせて新しいことを学ぼうとするのは生じっかな労力では出来ない。ましてやこんな女だらけの所に入ってくるなんてすごい事だ。
緊張しながら生きた花をゆっくりと心を落ち着かせて造形していくという作業が『集中』せずには勿論行えない事であり、これが今の私にとってとてもいい処方箋になるとも感じ、先生のお人柄や教室の雰囲気がとても気に入ったので入会することを決めた。
この時の私にとってはもう超一大決心で超大冒険を始めるくらいの感覚である。
その日生けたたお花を持ち帰り、まだ全く知識のない中で家の花瓶に入れ込んだ時。
とっても心が穏やかになった気がして、そして家の中に彩りが、自分の心の中にも彩りがほんの少しだけ戻った気がして嬉しい気持ちで満たされた。
働くことで社会と関わること。それ以外にもこう言った習い事でも社会との関わりを持てることもできる。前述したような「エンターテインメント」での逃避感やドキドキキラキラする気持ちも大切。
そしてなんでもいいから『学びたい』と新しい彩りを自分に添えてあげる事。
とにかく『集中』をしなくてはならない事をして暗闇くんとちょっとでも離れる事。
そこにたどり着くまで勿論時間がかかるけど、どこか無理やりにでもポチッとボタンを押すように、思い切ってバンジージャンプを飛ぶように新しい何かに触れることは何よりの特効薬になるような気がする。
他人に『こうしなよ』『こうした方がいいよ』と言われてもできないのが「うつ病」の難しいところだけど、自分が何かにピンときた感覚は信じていいように思う。
半年少し経った今も月に二回のこの生花教室に通い、生花そのものを習いながらも自分の『療養』にもなっていると実感している。
花はいい。
華もいい。
ほら、やっぱり自然に元気を注入してもらっている。
人間は自然より弱いから、儚くも強い自然に癒される。
身勝手だよな、人間って・・・・。
私が魔法使いだったら枯れてる花にもう一度息を吹き返す魔法を覚えたい。
それだけでいい。
それか大事な人の時間を巻き戻したい。
自分はもういいから。