私は親になれない

流産を3回経験し、絶賛『鬱病』闘病中・子なし四十路女の小言。それでも切実に伝えたい事。この日本でも個人での自由な生き方がもっともっと当たり前になりますように.....。

55、再び、推し量れない

春がやってきて、大好きな桜が咲いて心が躍るはずの、前までは心躍ってなんでも出来るような気持ちになっていた季節。

子供を失ってからなんとなくそこに、悲しさというより少しだけ苦味が混じった寂しさのようなものが感じられる季節へと変わった。

 

現在住んでいる家の近くにはちょっとした桜の名所的な所があり、毎年この季節には春待ち、冬から解放され上を見上げキラキラとした顔で桜を眺めてる人が多く見られる場所だ。

元々人混みは苦手なのでピークの時には一切行かなかったが朝方、人のいない時に少し眺めに行ったりした。

 

桜が大好きだったから、元よりワイワイとしながら花見をするより、誰もいないそして一本だけひっそりと咲いている桜を眺めたり、名所と言われていない桜並木を自転車で通り抜けるのが好きだった。ココロがパァーっと開いていく感情。

 

ワイワイとブルーシートを広げ酒をかっくらいながら花見をしようという集まりにも、若い頃は勿論参加したことはあったが、大体寒くなって風邪を引くか、ただただ集まって酒を飲みたいがための理由づけが「桜」になってるだけだとはたと気付き始めた時からは一切そういった類には参加しなくなった。

 

桜がかわいそう。

 

そう思っていたし、今も思っている。

 

我が家より、スーパーに向かうにはどうしてもその名所を避けて通らずにいけない事情がある。

この三連休、世界中の状況を目の当たりにして自粛のムードが上がっているというのにどこか呑気な日本人は予想通りワッと湧き出て桜の周りは酷くごった返していた。

これは感染が確実にまた広がるな、と思わざるを得ない画。

自分は関係ない、とマスクもせずに大声で騒いだりお酒を飲んでは潰れてる姿も多く見られた。

 

買い出しのため、夫婦で少々そそくさとその場を通り抜けスーパーへ立ち寄り、いつも通り少し散歩を試みて暫くして・・・私はいきなり気持ち悪くなった。

 

なんだろう。この世界情勢の中でこうした無責任なお祭り騒ぎムードになんだか気持ちがざわざわもやもやして吐き気がしたのだ。

せっかく今、少し暗闇くんが遠くへ出かけているのに・・・と足早に家路に着くことにした。

 

何度でもいうが、コロナウィルスになんて最早数に出てないだけで何ならほとんどの人が感染していると私は思っている。自分も含め、持ってる可能性が高い。

そこを恐れてるんじゃなくて、自分がそれを移し誰かをどこかで殺してしまう可能性があるということなのだ。それが恐ろしくて仕方がない。

その時限爆弾を誰もが持っている。その自覚が大切だと思っている。

 

こういうムードの中でもこうやって人混みのお祭りムードを盛り上げる側も、わざわざ参加する側もそういう感性を全く持ち合わせていないのだろうか。

せっかく春休みなのに、とか、ここで儲けを出さないとまずい。という気持ちを持ててるのも今のうちなだけで身近な人たちが感染し重症化し始めてから初めて

『やばい』

と気づくのだろうか。

まぁ人間は総じてそうだ。自分の流産の経験をあげて再三書いてきた事だが、何事においても自分が、または近くの人が経験しないと色々なことを推し量る事がなかなかできないらしい。

大切なものを、人を失う辛さを味わっていないのかな・・・・。

 

だから私はその中に一瞬でも入って、なんとも言えない吐き気を覚えた。

 

いそいそと家に帰った後、私の事を心配していた側の旦那が

『自分もなんか体が重い。変に疲れて変に眠い』と言った。

 

私たちはそこんとこ、物凄く似たもの夫婦だ。

彼も私とは種類の違う繊細な部分を持っていてパニック症と未だにゆっくりと向き合って戦っている。

 

その後二人してワンコを真ん中に少しだけ昼寝をした。

 

こういった感性を同じくするパートナーで良かったと目が覚めて、まだイビキをかいている旦那の寝顔を見て思った。

近しい人がそうなら、もうそれでいい。

外を嘆くと益々私の暗闇くんはドヤ顔をしてくるからだ。