私は親になれない

流産を3回経験し、絶賛『鬱病』闘病中・子なし四十路女の小言。それでも切実に伝えたい事。この日本でも個人での自由な生き方がもっともっと当たり前になりますように.....。

60、何も生まない

少し前、久しぶりに

「お仕事は?」

 

「お子さんは?」

 

という防御不能の攻撃を受けた。

防具を持ち合わせていない、いや、せいぜいでも『布の服』という防具しか装備していないので一気にHP(ヒットポイント)は1で真っ赤である。

 

家にそそくさと口を紡いで帰り、息子犬に回復魔法をかけてもらった。

それで変に引きずらなくなったのは気づかぬうちにそこの所レベルが上がっていたのだろうか。

レベルアップのファンファーレは聞こえなかったけど。

 

こういう類の攻撃は今までも何回か受けてきて、暗闇街道まっしぐらの時はその毒が致死量にあっとい間に達し号泣したものだが、今となっては

 

『まだいたか。この化石的日本人。』

と、少しだけココロの中で上位に立つことで・・・というより心底そう思って悲しい気持ちと共に呆れる心情が大きくなってきた。

 

以前付き合いのあったとある夫婦がいる。私より何年か前に結婚をして二人ともバリバリ働いていたものだからその女性側は

『子供はそんなにいらない』という言葉を発していた。

 

その後予期しなかった妊娠をしてその環境の変化に、産後鬱っぽいものを軽く発症してたらしいがその後はすっかり母親になり、その後何年かして第二子も授かった。

私の以前の職場での仲間だったのでよく集まっては、唯一子持ちの夫婦だったのでいつしか話の中心はその子供になり皆に可愛がられ何ともほんわかとした空気が流れていたものだ。

ちょうど私が結婚したくらいの頃だ。

 

自分も前述したように子供が欲しく、『親になりたいから』と結婚を決めた所が大きかったのでこの夫婦の様子を見ては羨ましく思っていた。

 

ある時、お酒を飲みながらその旦那の方に

 

「君は子供が出来にくいような気がするから、頑張って。いいよ。子供は。早く頑張ってつくった方がいいよ」

 

と言われた。

その時は冗談かなと思って全然気にも留めなかったし笑って流していた。

今思えばなんて恐ろしい呪文。

冗談でも発するべきではない言葉だし、その冗談が本物の呪文となって実話になってしまってるんだから人のコトバというのは本当に怖い。

その呪いは今でもどうやら継続中なようだ。

 

そしてその後、その嫁側にも洗礼を受けた。

ちょうど3人目の子をお空に送った後に彼女から送られてきたのは

 

『私は葉酸を飲んでなかったから二人目の女の子に少し軽い病気が出ちゃったのかもしれない。後悔してるんだ。』

と、ご丁寧に二人の子供の写真をLINEにてピコっと送ってきた。

実は流産を繰り返している、と彼女に告げた『直後』である。

 

化石というより、ヒトじゃない・・・・。

と言うより言葉は悪いが頭が悪いのだろう。

そんな気がしてそれ以来この夫婦との付き合いはやめた。すっぱりやめた。

 

流産や死産を経験してる人たちの中で多く経験してるであろうこの流れ。

自分はこうだったから、と出産してる人たちに何かをお勧めされたりすると言う攻撃。

 

特にこの葉酸推しをしてくる『葉酸ウーマン』は本当に多い。

そんな事はもうあなたたちより遥かに重々承知だし、子を宿し産むために何が必要か大切かなんて知識も比にならないくらい多いわ!と言ってやりたい。

 

この瀕死にさせられる攻撃が怖くてなかなか『新しい出会い』や『久々の再会』に踏み出せない。

私たちのような経験をしてる人間はこうやって閉じこもる。

あと、酒の場で軽いノリで聞いてくる男性も少なくない。

 

どうかこの世から、

「お仕事は?」

「ご結婚は?」

「お子さんは?」

の攻撃呪文が無くなりますように。

 

この言葉、初対面の場合双方得する事も意味も全く生まないです。

少々顔見知りになってからならまだ意味がある。

 

久しぶりにボコられた。